栗生岳参り
概要
岳参り
・屋久島の岳参りは、山の恵みに感謝する行事として古くからおこなわれてきた。
・岳参りは、世界文化遺産で評価される富士講のように高山を神聖化する信仰登山で、日本中でみられる山岳信仰の形だが、本格的な行事は屋久島が最南といわれる。
・古代から南の島々への道筋であり、東シナ海交易の拠点でもあった屋久島では、海上交通の目印「ヤマアテ」としての高山信仰も生じたと思われる。
・各集落が奥岳や各地域に縁のある前岳に登り、そこに祀られる屋久島の山の神、一品法寿大権現(神道名:彦火火出見尊ヒコホホデミノミ コト―益救神社や栗生神社などの祭神)にお参りする。
・若者減少などで少なくなったが、伝統文化の見直しなどで復活傾向にある。
栗生の岳参り
・かつては、前夜は宮籠りして旧栗生歩道を辿り、小楊枝川右谷上流のコオリ川を経て栗生岳、宮之浦岳、永田岳2泊3日で登ったといわ れている。
・別に七五岳にお参りする組もあり、帰路合流したとされる。
・黒味林道が整備されてからは、奥岳の岳参りは花之江河経由で行われた。
・1954(昭和29)年頃以降途絶えていたが、1994(平成6)年に栗生川(小楊子川)の源流である栗生岳の岳参りとして40年ぶりに復活した。
・栗生岳山頂は、栗生神社の奥の院ともいわれる。
・1997(平成9)年には荒廃していた栗生岳山頂祠を整備して看板を設置し、その後は栗生区が管理している。
現在は栗生岳日帰りで実施
(平成29年9月1日記録)
・早朝4:00、集落役員と5人の使者が栗生神社に参拝する。
・榊、汐、お神酒(焼酎)、米、塩と供えるための竹筒などを山に持 参する。
・4:30栗生神社を出発し、車で淀川登山口に向かう。
・6:30登山口を出発し、8:00に花之江河の祠に参拝。
・10:00前に栗生岳1867mに到着、祠周辺の清掃、整備を行う。
・山頂岩屋の一品法寿大権現に使者一同参拝。
・15:30下山した使者は栗生神社で、出迎えた集落役員と参拝。
・続いて、使者一同は生活館でサカムカエの接待を受ける。
【資料】
1 屋久町郷土誌第一巻集落誌上
2 屋久島、もっと知りたい~人と暮らし編~ 下野俊見
3 岩川明氏資料
4 区長他住民聞き取り
写真
汐汲み![]() 4:00前に河口西の浜で山に供える汐(海水)を汲む。 |
栗生神社前神前山供え物![]() 栗生神社神前の山に持参する榊、汐、お神酒(焼酎)、米など。 |
栗生神社参拝![]() 5人の使者と集落役員が出発前に栗生神社に参拝。 |
供え物受取![]() 山に持参する供え物を使者が受け取る。 |
神社出発![]() 4:30使者一同栗生神社を出発。 |
花之江河参拝![]() 栗生岳への途上、花之江河の祠に参拝。 |
栗生岳山頂間近![]() 3本を撚り合わせて太さ40cm、長さ 13尋(1尋は1.5m)程の本綱をつくる。 |
栗生岳表記![]() 11:00前、栗生岳山頂間近を登る一行。 |
祠のある栗生山頂岩屋![]() 栗生岳山頂の表記。 |
祠の清掃、整備![]() 一品法寿大権現の祠がある栗生山頂の岩屋。 |
祠に供え物![]() 登頂したら、先ず祠と周辺の清掃や整備をおこなう。 |
使者一同山頂祠参拝![]() 持参した榊など供える。 |
栗生神社帰着![]() 15:30栗生神社に帰着した使者。 |
栗生神社下山参拝![]() 出迎えた集落役員とともに栗生神社参拝。 |
サカムカエ1![]() 生活館でサカムカエの接待を受ける1。 |
サカムカエ2![]() 生活館でサカムカエの接待を受ける2。 |