漁神(十日恵比須)
概要
〇福神の中の一体であり、俗に福の神とも呼ばれ、屋久島においてはほぼ各集落に様々な形に見られるものとなっている。原に恵比寿像は集落中浜(漁港)のみに現存し、左右隣りには「浦島様」「海上安全の仏像」もあり、海(漁)の神信仰のバラエティを感じ させてくれる。
〇原は1月10日に十日恵比須としてお祭りがあり、この神 事に関してもここでまとめて記述したい。
【場所】 原漁港、小高い場所に北側から「浦島様」「恵比須像」「仏像」と三 体並ぶ。
【詳細】
〇原に恵比須像はは集落中浜(漁港)のみに現存し、かつては木製の物が三体あったがシロアリ被害により「海に納め」られたらしい。その後、再建された恵比須像が現存している。楠の木で台座ごと彫られ、色褪せてはいるものの着色された、耳たぶの大きな恵比須像である。
〇並んで右手少し離れた小高い上、コンクリートの祠の中に納められた 丸みを帯びた天然の花こう岩は「浦島様」と呼ばれる、航海安全の神の 御神体となっている。
〇左手には「海上安全」と書いた仏像もあり、「海上安全を祈る原船主会」「海の安全を祈る屋久町昭和52年6月」との記述がある。
〇十日恵比須のご神事に関して
・祭司は原の在住の神主。
・参加者は区の役員を除けばカヌーのガイドが半数を超える。
・式の中では恵比須だけではなく「浦島様」を拝礼する時間もとられる。
・2019年は集落内で不幸があった関係でやむなく執り止めたが、例年は神事の後は港にブルーシートを敷いての直会がある。
【文献・資料】 屋久島、もっと知りたい(人と暮らし編)下野敏見P254-255