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鬼火たき・門まわり

概要

<鬼火焚き>
・毎年1月7日、門祝いと同じ日に行われる。
・小瀬田の浜で小瀬田区と共同で行う。
・鹿児島県各地で行われている、正月飾りについてきた悪霊を追い払う伝統行事。屋久島町内ほとんどの集落で行われている。
・バチバチノキ(正式名ケウバメガシ)、モウソウチク、マダケが材料として用いられる。
・煙を浴びる事で1年健康になると言われる。バチバチノキや竹を用いるのは、燃える際に弾けるような大きな音が出るため、厄除けにな ると言われている。
・小瀬田の「下んこの浜」に軽く穴を掘り、薪を円形に並べ、しめ縄を入れ、中心にマダケを巻いた大きな孟宗竹を立てる。孟宗竹は三方 から引っ張って立てるため、ロープを3本結んでおく。
・朝、子供会が班に分かれて集落内各戸のしめ縄を集めて回る。
・子供会が赤鬼と青鬼の絵を描き、表裏に張り合わせたものを的にする。
・昔、鬼の面は各家の火の神様のお餅の飾り付けの紙を集め、1日がかりで炭火で乾燥させながら張り合わせて作り、絵の上手な者が鬼の 絵を描いた。
・焼き残った薪を2本持ち帰り玄関に立てる。悪鬼を払うという意味がある。

<鬼火焚き>(令和2年1月7日実施)
・朝9時、子供会と役員が小瀬田公民館に集まる。子供達は公民館で鬼の絵を描く班と各家のしめ縄を集める班に分かれて作業する。
・役員は竹を集めるなど、鬼火焚きの準備をする。
・午後4時30分頃から、下んこの浜に小瀬田長峰両集落の人々や子供が集まってくる。
・孟宗竹に結んだ3本のロープを3方から引っ張って立て、鬼の絵も巻き上げる。
・午後5時、竹に火を付け、勢いよく燃え上がりだすと、子供たちが手に小石を取り、鬼の絵めがけて一生懸命投げる。しばらく投げてい ると鬼の絵がボロボロになってくる。すると孟宗竹を横に倒す。鬼の絵は子供たちが破いてバラバラにし、火にくべる。
・マダケが勢いよく燃え、大量の煙が出る。この煙を浴びると無病息災になるという。
・薪の根元をよく燃やし黒く焼く。海水で火を消した後、2本づつ持ち帰る。

<門祝い(門まわり)>
・1月7日の夜、子供と役員で家を回り、祝い歌を歌って回る厄払い の伝統行事。
・長峰西部、東部の2班に分かれて訪問依頼のあった家を回る。
・祝い歌は「一般家庭用」、新築・成人・厄払い・七草の為の「お祝 い家庭用」、「船主家庭用」の3つがある。
・各家庭では、酒(お酒やジュース)、肴(つまみ、お菓子、おか ず)、金一封を準備して一団が来るのを待つ。
・一団が訪れると家主は玄関と縁側の扉を開けて御盆に酒肴金一封を 準備し、玄関で正座をし、祝い歌を聞く。
・祝い歌は一般家庭用を2回唄う。新築・成人・厄払い・七草であれ ば更にお祝い家庭用を、船主であれば船主家庭用の歌を更に歌う。
・家では玄関と縁側の扉だけでなく部屋の襖も全て開けるのだが、こ れは家の隅々まで祝い歌が届くようにするためである。
・祝い歌を歌い終えると酒肴と金一封を頂戴する。

<祝いうた>
(一般家庭) 「アー祝い申す いつもより今年は 作づくりがようして

みのたわらが 二千石(にせんごく) 米のたわらが千石(いっせんごく)
祝うて申す
ヤーほんに ほんからそうじゃ アーらくさいじゃ ホイ」

(お祝い家庭)
「アー○○どんのお家に まいりてみれば
しろがねはしらに こがねのたるき
しほうのすみずみ ぜんとかねがさがった
祝うて申す
ヤーほんに ほんからそうじゃ アーらくさいじゃ ホイ」

(船主家庭)
「アー○○どんのお船を みわたしてみれば 表のほうに もみのたわら二千石(にせんごく) とものほうに 米のたわら千石(いっせんごく) 祝うて申す ヤーほんに ほんからそうじゃ アーらくさいじゃ ホイ」 ※しろがね・・・白金、こがね・・・大判小判

<門祝い(門まわり)>(令和2年1月7日実施)
・午後6時、長峰公民館に子供達と役員が集まる。今年は子供9名だった。
・午後6時半、西部、東部の2班に分かれて門まわりを始める。

・門まわりは以下の流れで行われる。1戸5分程度
1 家を訪ねる。家主が居る家では玄関先か縁側に酒、ビール、つまみ が準備されている。
2 玄関先に立ち、一般家庭用の祝い唄を2回歌う。
3 祝い事があればお祝い家庭用の歌を歌う。
4 家主から酒肴を頂き、金一封(千円程度)を頂く。
5 公民館に戻り、頂いたものを分ける。お金は子供に分配される。

午後8時、解散となった。

【参考文献】
1上屋久町長峰区郷土史 あしあと/上屋久町長峰区
2区長他、住民の聞き取り

写真

鬼火焚き

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鬼火焚きのようす。

鬼の絵描き

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公民館で鬼火焚き用の鬼の絵を描く。

マタケ集め

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鬼火焚き用のマダケを集める。

鬼火焚き準備

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下んこの浜で鬼火焚きの準備をする。

竹を立てる

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ロープ3本で竹を立てる。

鬼火焚き開始

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火を入れ、鬼火焚きが始まる。

鬼に石を投げる

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鬼の絵に向かって子供たちが石を投げる。

石を投げる子供

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一生懸命に石を投げる子供たち。

鬼の絵に集まる

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竹を倒し、鬼の絵に子供が集まる。

薪を持ち帰る

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煙を浴びて薪を持ち帰る。

歌の練習

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公民館に集まって唄の練習をする。

祝い申すの歌

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祝い申すの歌の歌詞。

門回りの様子

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門まわりのようす。

歌う子供たち

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祝い唄を歌う子供たち。

七五三の家

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七五三の家には祝い唄も歌う。

新築の家

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新築の家にも祝い唄を歌う。

お店での門回り

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お店も祝い唄を歌う。

袋分け

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お菓子やお金を袋分けする。

持ち帰る子供

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お菓子やお金を持ち帰る子供たち。